醤油と味噌、豆腐、有機野菜、漬物の生産者
㈱ヤマキの木谷社長
木谷さんのところのお醤油や味噌や大豆は、国産原料だけで作られている。
原料の買い付けは人任せにはしない。
大豆も小麦も自然海塩も、どこの誰が作ったものか、全部わかっている。
たとえばお醤油作りは、大豆作りの農家さんの土づくりから始まっているのだ。
それが北海道でも、木谷さんは農家さんの所まで行って、余計なものを土に入れたり、作物にかけたりしないことを約束してくる。
そして農家のみなさんと、夜遅くまでじっくり語り合うのだという。
木谷さんは、話が長い。
大豆のことになると、汲めども尽きない井戸のような豊富な知識が、日本の食文化への責任感に後押しされて湧き出て、何時間でも止まらない。
あまり知られていなけれど、大豆作りは、お米に比べて儲からない。
その上、有機や無農薬栽培でというのだから、引き受け手はますますいない。
だから、木谷さんは「輸入の大豆は遺伝子組換え大豆だから、消費者のみなさんのために使えません。油脂が少なく、うま味成分のたん白質が豊富な国産大豆がなければ、おいしい醤油も味噌もできないから」と、今日も各地の畑を訪ねて出かけていく。
あまりに出張が多いので、自分のところの豆腐を食べる時間もないくらいだ。
今年の秋も、大豆の収穫時期がやってくる。
きっと、ヤマキの大豆の生産者さんたちは、木谷さんと長い夜を語り明かすのを楽しみにしているに違いない。