藤田牧場はよつ葉の牛乳工場から車でおよそ30分ほどの鹿追町にあり、現在は育成牛・初妊牛の約50頭と搾乳牛約70頭の世話と牧草作りなどの畑仕事を藤田さんご夫妻と男女3名の若い方でこなしています。
また、「カントリーファーマーズ藤田牧場」として一般の人を対象に搾乳体験や手作りバター教室などを行ない、宿泊用にコテージも用意するなど、消費者との交流にも熱心に取り組まれています。ちなみに鹿追町の「道の駅」では夏の間、藤田牧場のミルクを原料に作ったアイスクリームが名物なのだとか。 ? 今回、私たちは夜の作業を終えた後は牛舎のお向かいのコテージに泊まり、翌日早朝の搾乳と集乳までの一連の作業を体験させていただきました。
いけ:藤田牧場は搾乳牛はつなぎ飼い(スタンチョン)なので、弱い牛もいじめられることはないのね。牛にはパジェロの子はパジェロミニとか、みんなに名前があって。場所が同じだと体調も把握しやすいんですって。
あめ:通路の近くにいる牛に通るたびに「ピカソ」と呼んでいたら、向こうから顔を近づけてきて可愛かった!
みの:牛の餌は牧草などの粗飼料が8割、濃厚飼料が2割くらい。黒いビニールの玉はチモシーなどの牧草をビニールでラップして発酵させたサイレージだけど、牛糞の堆肥を農家にあげて、かわりに麦ワラを貰うそうよ。
あめ:牧草のサイレージは乳酸発酵だからぬか漬けのようないい匂いで、デントコーンのサイレージは古漬のような匂いだったわ。
いけ:牛はコーンなどの入った濃厚飼料が大好きだから、最初は牧草のサイレージを食べさせて、ある程度お腹に入れてから濃厚飼料をあげたよね。牛の主食は草だもの、草をたくさん食べるようにいろいろ工夫してるのね。
みの:朝夕2回の搾乳前後に汚れた牛舎を掃除したけど、掃除しても振り返るともう汚れてて…。でもね、取り替えた敷き藁に寝そべってくれると嬉しいよね。
あめ:糞は1頭で毎日60㎏もするのよね。バーンクリーナーというベルトコンベヤーが無い牛舎ではスコップで一輪車に積んで外へ出すけど、重くてよろけそうだった。冬は床が凍って滑るしね。
いけ:それに朝の作業は4時半頃から。厳しい仕事ね。
みの:牛舎の中は搾ったミルクをタンク(バルククーラー)まで運ぶパイプラインが柱や壁、天井に巡らされていて 、最初は温かいミルクがタンクですぐに5℃以下に冷やされるのはすごい。設備にお金がかかりそうね。
あめ:搾乳の前には牛の頭数分のタオルをお湯で絞って乳頭をきれいに拭いて、まず小さなカップに少し絞ってミルクの状態が正常かどうかを見ていたわよ(写真 )。
いけ:乳頭を拭くと、オキシトンという成分が乳房を刺激してミルクが出るんですって。でも、その効果は5分しか続かないから、ミルカー装着は大急ぎ。素人は手伝わせてもらえなかった…。
あめ:その後、集乳のローリーにミルクを移してからタンクを消毒してやっと一段落。夏はさらに畑仕事があるからもっと大変なのね。
掃除から搾乳終了までは朝夕それぞれ2~3時間。生産者のみなさんへの感謝の気持ちを胸に、体験を終了しました。